もうひとつの視覚

『もうひとつの視覚』(メルヴィン・グッデイル/デイヴィッド・ミルナー著 新曜社 2625円)で書いている2つの視覚の報告は、これまでの私の経験を説明している。
「人によって現実が違う」「過去は未来によって変えられる」「テレビの脳トレで、2枚の写真が違いがなかなか見つけられない」「空地になったとき、その場所にあった建物をなかなか思い出せない」とか...。

報告は、正確に見えているのに行動が不正確な患者と見えているものが判らないのに正確に行動できる患者についての詳細なテストと進化に伴って発達した2つの視覚についての考察である。脳の一部損傷によって出る全く逆な症状の意味をさまざまなテストによって追いかけているなかで、明らかになっていく2つ視覚(正確にはもうひとつ有る)の性格と役割分担について述べている。

1.知覚(関係性把握)のための視覚
   外界を「関係」で捉える視覚。長期間保持可能。
   それぞれの外界の要素を精確に把握しない
2.行為のための視覚
   外界の物と自分との位置や形状の精確な把握。ほんの数秒の保持。
   カップを掴んだりするのは、この視覚を利用している。

過去の記憶がアイマイなのは、そのときの各要素を精確に把握せず「関係」のみからなる「知覚のための視覚」しか記憶できないためである。

非常に興味深い本である。

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