大発見ー電気 もし地球上で電気の力が無くなったとしたら

もし地球上で電気の力そのものがなくなったとしたら、どんなことになるだろう?

水の分子どうしを結び付けている電気的な結合力がなくなってしまうと、
地球のすべての海が勢いよく盛り上がって、蒸発してしまうだろう。
私たちの体内にあるDNAのストランドは、もはや小さな塊に纏まっていることができなくなるだろう。
電気的な引力が無ければ、大気中の酸素分子が血液中のヘモグロビンに出会っても、その表面でただ跳ね返ることしかできず、そのため、呼吸する生物たちは、やがて窒息し始めるだろう。

ケイ酸塩をはじめとする、地球に存在する物質を結び付けている電気力がなくなると、地面そのものが割れ、融けるように解体し始めるだろう。
大陸をなしていた地殻が割れてできた亀裂の中へと、山脈が崩壊してゆくだろう。
最後の瞬間には、この太陽系の恒星である太陽で、電気にかかわるからくりで伝播されていた光が忽然と消え、世界の最後の日が暮れ行く中で、生き残っていたごくわずかの生き物たちが、太陽そのものの明かりが消えるのを目撃するだろう。

              出典:『電気革命 モーリス、ファラデー、チューリング』(D・ボダニス、新潮文庫)