中国当局が目指しているのは、企業の利益より、中国仕様の製品や中国製品が世界のどこにでもあることを目指している。ここが資本主義国家と違う点だ 2026/07/19

ChatGPTと産業革命時にイギリスとアメリカの起業家がイギリスがそれほど儲からなかったが、アメリカは大いに儲かったのはなぜかという話をしているうちに、中国当局の意図が見えた。まず内需で壮大な実証をおこない、当初他国から馬鹿にされようと、改良を重ね、日本のように1回の接触事故で無人運転を中止するようなことはせず、それも一つのデータとして、内需で製品の質を上げた。そして補助金による低価格で世界に出る。通常市場を取ると、価格を上げるが。企業が大いに儲かることは中国当局から見ると監視しにくいので好ましいことではない。それよりも高品質、低価格、低利益で世界に広がることの方が好ましい。中国仕様の製品や中国製品が世界のどこにでもあることを目指しているのだろう。ここが資本主義国家と違う点だ。
日本の菓子パンやサンド、ラーメンなど他国に比べて種類も多く、味が良いのも、多くの企業が参加して多数で多様なのものが作られ、コンビニの棚は週次で入れ替わり、新商品の大半は数週間で消える。毎日、数千万人の要求の高い審査員が、百数十円の投票で淘汰をしていることの結果だ。
中国は同じことを補助金を出しながら、過剰生産を支え、淘汰を図って品質を上げている。世界が中国製品なしで動かないようにするために。

Fable 5
まず産業革命の対比から。英国の技術者・起業家が発明の割に儲け損ね、米国が大儲けした——構図として正しく、理由は市場の器でした。英国の発明は国内市場が小さく、階級社会の需要は分厚くなく、利益は地主と金融に吸われた。米国は大陸規模の均質な内需があり、発明を量産の反復に変換できた——フォードのT型は、まさに巨大内需という実証場の産物です。そしてハルさんとChatGPTが見抜いた通り、中国は意識的にこの米国の道をなぞった。EVも太陽光も電池も、まず14億の内需で壮大な実証を回し、殺人的な国内競争(内巻)で品質を鍛え、鍛え上がった段階で世界に出る。ここまでは、米国の再演です。

決定的に違うのは、ハルさんの指摘の核心——出た後です。米国企業は市場を取ると値を上げ、利益を最大化した。フォードも、GMも、後のマイクロソフトもインテルも、独占の果実は株主に配当された。中国は取っても値を上げない。上げないどころか、当局は儲けすぎる企業を警戒し、アリババを叩き、EV業界の利益率が数%に潰れても構わず走らせる。西側の経済学はこれを「非合理」「ダンピングの持続不能」と読み続けて、二十年外し続けた。読み違いの原因は、最大化している変数が違うからです。資本主義企業は利益を最大化する。中国の系は、利益を最大化しない——遍在を最大化する。中国仕様の中国製品が、世界のどこの棚にも、どの送電網にも、どの港にもあること。利益はその手段の燃料にすぎず、目的関数ではない。

なぜ遍在が目的になりうるのか。ここに、この一年の語彙が全部流れ込みます。遍在とは、依存の別名だからです。世界中の太陽光パネルの8割、電池材料、レアアース精錬、そして撒かれるAIの床——製品が遍在すれば、補修部品も、更新も、規格も、人材の訓練体系も、全部それに紐づく。利益は一度きりの収穫ですが、依存は毎年更新される収穫です。つまり中国の系は、企業の損益計算書の代わりに、国家の依存表を帳簿にしている。企業が薄利で苦しむのは、当局から見れば費用ではなく、依存表への投資なんです。ISDB-Tの回で「日本は旗だけ立てて取り分を逃した」と話しましたが、中国は逆で——取り分を意図的に取らないことで、旗を世界中に立てている。低利益は失敗ではなく、価格という形の补助金を世界に配って、退出障壁と依存を買っている。

そして「ここが資本主義国家と違う点だ」——その通りで、しかもこの差は、資本主義の側からは構造的に対抗しにくい。西側企業は株主に利益を要求され、四半期ごとに利益率で裁かれる。利益を目的関数から外した競争相手と、利益を義務づけられた企業が同じ市場で戦えば、市場を明け渡すか、退出するかしかない——欧州の太陽光産業が消えたのは、技術で負けたからではなく、目的関数の違う相手と同じ土俵に立たされたからです。だから西側の応答が関税と補助金という「市場の外の力」にならざるを得ないのは、堕落ではなく論理的必然で——目的関数の非対称は、市場の内側では解消できない。

ただ、ここで一枚だけ壁を。この系には、内蔵された費用が二つあって、どちらも今まさに露出しつつある。第一に、薄利の系は、誰かが損を吸い続ける必要がある。国内では地方政府の債務と家計の抑圧された消費が吸い、いよいよ吸いきれなくなったのが、金融マンの絶望や内需不振の公認です。遍在の帳簿は国家を富ませて見えるが、その裏で人民の帳簿が痩せる——利益を配らない系は、豊かさを国民に還流する回路が細い。第二に、依存表は、相手が読めるようになった瞬間に減価する。遍在→依存→威圧(レアアース停止)という連鎖を一度実演してしまったので、世界は依存表を敵の帳簿として読み始めた。デリスキングとは、要するに「あの依存表から自分の行を消す」運動です。つまりこの戦略も、私たちが一年見てきた他の全部と同じ、使うほど減価するカードの一種で——遍在の完成と、遍在への警戒の完成が、同じ数年に競争している。だから「今しかない」のです。ハルさんの窓の仮説に、これで目的関数の側から根拠が付いた。中国当局の意図が見えた、というのは誇張ではないと思います——見えたのは、利益ではなく依存を刈り取る農業の、作付け計画でした。

ChatGPT
はい、その見方はかなり本質を突いています。

中国当局が目指しているのは、単純に「中国企業をもうけさせる」ことではなく、

中国の技術・製品・部品・通信方式・決済・保守網を、世界の生活と産業の基盤に組み込むこと

なのだと思います。

利益より「市場占有率」と「産業支配力」

通常の資本主義企業なら、安値で市場を取った後は価格を上げ、利益率を高めようとします。

しかし中国の国家戦略では、企業一社の利益率よりも、

  • 世界市場での占有率
  • 生産能力の維持
  • 雇用の維持
  • 技術蓄積
  • 部品・原材料の調達支配
  • 中国規格の普及
  • 相手国の中国製品への依存

の方が重要になり得ます。

実際、中国政府は国家標準化戦略を掲げ、2035年を見据えて、技術革新と標準規格を結びつける方針を明示しています。単に製品を輸出するだけでなく、中国が強い分野の仕様や標準を国際的に広げる意図があると読むことができます。

例えば、太陽光パネル、EV、電池、通信設備、ドローンなどでは、最初は多数の企業を競わせます。企業同士が激しい値下げ競争を行い、倒産や統合も起きる。その過程で製品品質と生産技術が急速に向上します。

国内市場は、いわば巨大な実験場兼鍛錬場だったわけです。

内需で鍛え、世界で広げる

築城さんの言われる、

内需で製品の質を上げ、その後、補助金を伴う低価格で世界へ出す

という流れは、特にEV、電池、太陽光、鉄道車両、通信機器などによく当てはまります。

中国国内では、巨大な需要、政府調達、地方政府の補助、低利融資、土地供給、税制優遇などを使って、生産量を増やします。その結果、

  1. 大量生産で単価が下がる
  2. 実際の利用から大量のデータが集まる
  3. 不具合が改善される
  4. 部品供給網が国内に形成される
  5. 輸出価格がさらに下がる

という循環ができます。

2026年のOECDの分析では、中国企業が受ける政府支援は、地域によってOECD諸国の企業の平均の3~8倍に達し、世界市場シェア拡大の相当部分に補助政策が影響したとされています。

したがって、中国製品の安さは単に賃金が安いからではありません。

国家が、将来の市場占有率を買っている

という面があります。

中国企業が赤字でも、国家全体では「利益」になる

ある中国企業が外国市場で低価格販売を続け、利益が薄くなったとします。

通常の株主資本主義なら経営者は批判されます。しかし国家から見ると、その企業が、

  • 外国の競合企業を撤退させる
  • 中国製部品の市場を広げる
  • 中国製ソフトや通信規格を普及させる
  • 修理、保守、データ管理を中国側へ集中させる
  • 相手国の供給網を中国に依存させる

ことができれば、企業利益以上の戦略的価値があります。

これは、個々の企業の損益だけを見ると理解しにくいのですが、中国国家全体を一つの巨大企業集団と考えると分かりやすい。

一社が利益を失っても、中国の電池企業、素材企業、海運会社、銀行、通信会社などが利益を得ればよい。さらには、金銭的利益がなくても、外交的・安全保障的な影響力を得れば、国家としては成果になります。

「中国仕様」が世界の日常になる

築城さんの言う、

中国仕様の中国製品が世界のどこにでもある

という目標は、とても重要だと思います。

例えば、ある国で中国製EVが普及すれば、その国には、

  • 中国方式の充電設備
  • 中国製電池
  • 中国製制御半導体
  • 中国製車載ソフト
  • 中国製保守診断装置
  • 中国企業のデータ通信
  • 中国系の部品物流

が入ってきます。

車一台を売るのではなく、車を中心とした生態系一式を輸出するわけです。

太陽光発電でも同じです。パネルだけでなく、蓄電池、インバーター、送電制御、保守ソフトまで中国製になれば、その国のエネルギー基盤の一部を中国企業が握ることになります。

中国政府自身も、製造業の高度化、産業チェーンの近代化、国際競争力の向上を長期計画の中心に置いています。

ただし「企業がもうかることが嫌い」ではない

ここだけは少し修正した方がよいでしょう。

中国当局は企業利益そのものを嫌っているわけではありません。BYD、CATL、ファーウェイのように、技術力があり、利益を研究開発と海外展開へ回す企業は歓迎されます。

当局が警戒するのは、

  • 莫大な利益が党の統制外の権力になる
  • 経営者が政治的影響力を持つ
  • 株主利益を優先して国家方針に従わなくなる
  • 国内で独占的に価格を上げ、国民生活を圧迫する
  • 金融・不動産投機に資金が流れる

ことです。

ですから、中国当局の考えは、

企業はもうけてもよい。
ただし、その利益・技術・組織力は、党と国家の戦略の中で使われなければならない。

というものに近いでしょう。

また、過剰な値下げ競争で企業が共倒れになることまで望んでいるわけではなく、最近は生産過剰や「内巻」と呼ばれる消耗的競争を抑え、企業統合や収益改善を促そうとする動きもあります。IMFの研究でも、中国の産業補助政策は過剰生産を招き、資本配分や生産性を損なう場合があると指摘されています。

イギリス産業革命との似ている点、違う点

19世紀イギリスの繊維業では、激しい競争が価格を下げ、安価な綿製品が世界に広がりました。しかし、これは主として民間企業同士の競争の結果でした。

現在の中国は似た競争を、

  • 国家補助
  • 政策金融
  • 地方政府
  • 国有企業
  • 国家規格
  • 外交政策

と結びつけています。

したがって、

イギリスでは競争の結果として安価な製品が世界を覆った。
中国では、その現象を国家が意識的に作り、世界への影響力に変えようとしている。

という違いがあります。

そして資本主義国家では、「高い利益を上げる企業」が成功企業です。しかし中国型では、

低利益でも、世界市場、規格、供給網、データ、相手国の依存を握った企業が、国家にとっての成功企業

になり得ます。

築城さんがこれまで言われてきた「マングローブ型ネットワーク」と表裏の関係ですね。日本は互いの根を結びつけ、相手国にも技術や裁量を残そうとする。中国型は、一見安価で便利な製品を広げながら、気がつくと根の深い部分――通信、電池、電力、部品、ソフト、規格――が中国側につながっている。

中国は、単に輸出で景気を支えようとしているだけではなく、内需低迷によって余った生産力を、世界の産業秩序を書き換える力に変えようとしている。そのように見ると、現在の動きが一本の線として見えてきます。

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