今日の日経新聞に載っていたが、国際世論調査で、習近平がトランプを越えたとのこと、トランプとアメリカの信頼が落ちたことで、中国が相対的に上になった、2026/07/18
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はい、それはおそらく Pew Research Center の国際世論調査を日経が取り上げたものだと思います。内容としては、かなり衝撃的です。
Pewは2026年2月8日〜5月13日に36カ国・地域の4万2151人を対象に調査し、「世界情勢について正しいことをするという信頼」が、トランプ氏より習近平氏の方が高い、という結果を出しています。Pewの別記事でも、36カ国の中央値でトランプ氏への信頼は23%にとどまり、習近平氏、マクロン氏、ゼレンスキー氏、さらにプーチン氏より低いとされています。
ただし、ここは少し注意が必要です。
これは「世界が習近平を心から信頼し、中国型体制を好んでいる」という意味ではありません。Pew自身も、習氏・トランプ氏のどちらへの信頼も全体としては低いが、多くの国で相対的に習氏の方が上回る、と説明しています。
それでも、意味は大きいです。
要するに、習近平氏が急に人格者として評価されたというより、トランプ氏とアメリカの信頼が落ちた結果、中国側が相対的に浮上したということですね。Pewは、米国への見方が悪化し、中国への見方が改善した結果、36カ国の多くで中国が米国より好意的に見られるようになった、としています。
これは築城さんが言われていた「規制の信認が減価している」「同盟国がアメリカの予測不能性に不安を持つ」という話とつながります。
アメリカは、自由、法の支配、同盟、透明性、予測可能性を看板にしてきた。
ところが、トランプ氏が関税、制裁、規制、同盟費用、安全保障の約束を取引材料のように動かすと、相手国は「アメリカは頼れるが、次に何を言うか分からない」と感じる。そうなると、中国の方が民主的でなくても、「少なくとも一貫している」「経済的には使える」「内政干渉が少ない」と見える国が出てくる。
特に中所得国では、Pew調査で「米国は他国の affairs に干渉する」と見る割合が高く、中国をより信頼できるパートナーと見る国も多いとされています。
ただ、日本、インド、フィリピンのような中国に近い国では、まだ米国やトランプ氏への見方の方が習氏より高い、という地域差もあります。日本については、米国政府が個人の自由を尊重していると見る割合と、中国政府がそうだと見る割合には大きな差が残っています。
つまり、世界全体では「アメリカの信頼が崩れ、中国が相対的に上がる」。
しかし、中国の圧力を直接受ける国では、まだ中国への警戒が強い。
この二重構造ですね。
これが一番危ういところです。中国は世界から愛されているわけではない。しかし、アメリカが自分で信認を壊すと、中国は「比較の相手」として勝ててしまう。中国が急に善玉になったのではなく、アメリカが自分の看板を値引きしている。
民主同盟圏にとっては、かなり深刻な警告だと思います。
Fable 5
記事、確認できました。ピュー・リサーチが7月15日に発表した36か国・地域、約4万2千人の調査で、中国への好感度46%が米国36%を逆転(米国は前年から12ポイント下落、中国は8ポイント上昇)。6月発表の首脳への信頼では、トランプ氏を信頼する23%に対し、習氏34%、プーチン氏31%——トランプ氏より低いのはネタニヤフ氏だけという結果です。米国を「信頼できるパートナー」とみる割合は、カナダで83%から35%へ48ポイント、日本でも76%から59%へ下落。
まず、ハルさんが自分で挟んだ留保——「相対的に上になった」——が、この調査の読み方の全部です。数字の分解が証明している。中国+8、米国−12。つまり逆転の主動力は米国の落下で、中国の上昇はその半分強にすぎず、しかも上昇分の相当部分は、スマイル外交の成果というより「もう一方がひどい」という対比効果でしょう。習氏への信頼34%は、絶対値としては惨めな数字です——三人に二人は信頼していない。これは「中国が信頼された」調査ではなく、**「基準点が落ちたので、動かない者が浮いて見えた」**調査です。ここ数回話してきた言葉で言えば、トランプ氏が取り崩している信認残高が、初めて世界共通の計器に数字として表示された——彼の計器盤には載らない口座の、外部による監査報告。翻弄の芸の請求書は、こういう形で届く。
そして、この数字は先週来の話と不気味に整合します。予測可能性そのものがソフトパワーになる、という逆説です。習氏が評価を上げた理由は、魅力ではなく一貫性でしょう——言うことが変わらない、報復は予告通り、取引は履行される。覇権国が料金所化し翻弄を教義とするとき、権威主義の硬直性が「頼れる安定」に見え始める。自由世界の最大の資産だった「米国は気まぐれでも制度が均す」という信仰が、均されないまま二期目の実演を見せられて、剥落した。カナダの48ポイント下落は、その剥落の音です。同盟の隣人が、敵国並みの警戒水準へ半分降りた。
ただし、ここで調査そのものに壁を三枚立てておきます。第一に、中央値は分布を隠す。中国を上に見たのは27か国ですが、日本を含む6か国は今も米国を上に置いていて、日本の対中好感度は例年、調査対象国中ほぼ最下位です。グローバルサウスと欧州が動き、最前線国家は動いていない——脅威との距離が認識を決めるという、当然の地理です。第二に、世論と政府行動は別物。豪州の世論は8割がトランプ不信でも、AUKUSは続いている。各国政府は世論より冷たい打算で動き、打算の計器では米軍のプレゼンスと市場はまだ代替不能です。第三に、これはストックではなくフローの計測。米国の好感度はイラク戦争期にも暴落し、オバマで急回復した——選挙で指導者を入れ替えられる国は、四年ごとに生まれ直せる。この回復力こそ民主制の隠れた強みで、逆に中国の34%は、台湾で一手誤れば一夜で溶ける種類の数字です。
それでも、今回が過去の落ち込みと違うかもしれない点が一つある。イラク期の各国は、怒りながらも体は動かさなかった。今回は動いている——供給網の組み替え、防衛の自主化、決済の多様化。世論の数字は戻せても、数字が悪い間に打たれた既成事実は戻らない。中国の窓の戦略の回で見た通り、いま世界は配置の局面で、この調査期間(2月〜5月)はまさにトランプ訪中と関税の季節でした。世論の12ポイントは回復可能でも、その12ポイントが吹いている間に張られた根は残る。
日本への実務的含意は二つ。一つは冷たい方——日本(対米好感度は50%へ低下、パートナー信頼59%)は、世論の上でも「米国を上に置く少数派6か国」の一つで、つまり世界の多数派と認識がずれた突出部にいる。日本が「国際社会と共に中国に」と呼びかけるとき、その国際社会の過半は、いまや米大統領より習氏を信頼している。この地形で対中連携を編むなら、価値の言葉(自由・民主)より、相手の利益の言葉(港湾、人材、市場)で編むしかない——マングローブ外交が価値同盟ではなく利益の根の絡み合いとして設計されるべき理由が、世論調査の側からも裏書きされた。もう一つは、時計の方——この数字は2028年の米大統領選まで、たぶん戻りません。つまり日本は少なくともあと二年半、「世界の信頼の空位期間」を、信頼残高がまだ比較的高い数少ない国として過ごす。円安で観光客が押し寄せ、対日好感度が各地で上がっているのは偶然ですが、空位期間の持ち札としては本物です。覇権の信認が競売にかかっている数年に、買い手に回れる数少ない国の一つ——そう読み替えれば、この憂鬱な調査も、日本の帳簿では機会の欄に一行、書き足せる数字だと思います。
