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  • 携帯電話で起こった何ともおかしな話がまた起こるかもしれない。電信電話は、電話線を全国に張り巡らすという仕組みの上で成り立っていた。ところが、アフリカなどの後進国では、携帯電話で、電話線を張り巡らすという過程無しに、電信電話が可能となった。日本が国内で光回線などで高速化を図っている間に、携帯に様々なアプリを載せて、光と同じ速さの電磁波に乗せて、携帯の使用範囲を急激に拡大していた。固定電話を経ずに携帯電話へ飛んだ「リープフロッグ」。これが介護でも起こり得るのではないか。日本は世界に比べ、高齢社会をいち早く迎え、そのため介護保険などいろいろな老人対策を揃えてきた。そしてそれはそのとき最適化されたものだった。介護の仕組みはそのときはそれしかない方法、人手を頼って対応していた。人手と紙を頼るシステムががっちり出来上がってしまった。だが、今はこれから介護対策が必要な中国やその他のアジア諸国は、電子機器、ロボットを使った介護システムを構築しようとしている。日本は今でも、介護のポイントが低いから人が集まらない、と海外から人を集めようとしているが、中国では2025年の政府活動報告で「智慧養老」の推進が打ち出され、2025~27年には、見守り、移動、移乗、健康管理、リハビリ、会話支援などの介護ロボットを実際の施設で試す事業が進められて、上海では「智慧養老院」や、介護施設とオンライン医療を結ぶ仕組みも広がっている。高齢者は自宅で生活 → センサーが転倒・睡眠・排泄・服薬を監視 → AIが異常だけを人間へ知らせる → 食事や物品は自動配送 → リハビリや歩行を機器が補助人間は入浴、身体介護、診断、緊急時、精神的支援に集中する、これは、「幾人もの介護職員が高齢者の世話に関わる」という日本型とは、最初から違う仕組みだ。日本が高齢化に早く対応したために、その時代には最適だった仕組みが、次の技術革新に対する重荷になり始めた。アジアで次世代型介護システムが完成し、日本がそれを輸入する側になるかもしれない。2026/8/2
  • グレゴリー・クラーク著『10万年の世界経済史』の第7章「技術進歩」に、「技術の退化」という節があり、次のような事例を挙げている。・タスマニア人が、祖先の持っていた骨製道具や漁業技術を失った・北極圏のイヌイットが、先祖のトゥーレ文化にあった大型海獣狩猟、恒久的住居、精巧な道具などの一部を失った・中国が1400年ごろまでは世界最高水準だったのに、大型外洋船、深い炭鉱、水時計などの技術を後に維持できなくなった 産業革命以前の社会では、技術は必ずしも積み上がる一方ではなく、長期間停滞したり、実際に後退したりすることがあった。そして、これほど社会制度や文化の違う世界各地で、なぜ技術進歩が一様に遅かったのかを「世界史上の大きな謎」としている。地域ごとに戦乱、疫病、人口減少、孤立、貿易統制、国家事業の停止など原因は違うが、いずれも「技術を維持する網」を細らせる点では共通している。産業革命以前は、技術を継続的に使い、改良し、広い地域で共有する仕組みが弱かったため、社会の網が少し切れるだけで、技術の蓄積が逆回転しやすかったのだと考えられる。退化したというより、「その土地と人口規模で暮らしを続けられるところまで、技術体系が縮んだ」のだと思う。タスマニアでは、島内で貝・アザラシ・陸上動物などを得られるなら、危険で手間のかかる外洋漁労技術や複雑な骨角器を維持しなくても生存できた。イヌイットの一部集団でも、カヤックや大型海獣狩猟の技術を失っても、海氷上の狩猟など別の方法で暮らせるなら、集団は存続できる。中国の場合も巨大な遠洋船団を運用しなくても、国内農業、河川・運河輸送、沿岸交易、外国船が港まで来る貿易で国を維持できる。そこで鄭和艦隊級の造船・航海技術は、生活や統治に必須ではなくなった。一方、農業、陶磁器、織物、治水、国内商業など、日常的に必要な技術はむしろ発達した。問題は、環境が急に変わったとき、交易船の代わりに艦隊が来る、貿易の主導権が海上輸送を持つ側へ移る、力関係が大きく変わる――その時になって初めて、失った技術の大きさに気づく。これは日本のLNG船にも言える。普通の運搬船で造船所を維持できる間は、高度で特殊なLNG船を造らなくても会社は存続できる。しかしLNG船の建造が必要となったとき、設計者、専用設備、部品会社、建造経験の網が細っていることが弱点になる。技術は「最も進んだ状態」で安定するのではなく、「その時の社会が困らず暮らせる状態」で安定しやすい。2026/8/1
  • 首藤若菜著「なぜ賃金は上がらないのか」の中で、日本の現場が弱かったから賃金が上がらなかったのではなく、現場があまりに強く、値上げ・設備更新・事業再編をせずとも耐えてしまったため、賃金を上げる必要のある経済構造へ移れなかったと言っている。現場力が経営力の解答となっている。また日本企業の強みである既存工程の中で毎年数%ずつ生産性を上げる「カイゼン」が目標と自己満足となって、現状維持を可能にし、今や日本の時間当たり労働生産性は、2024年時点でOECD加盟38カ国中28位とされている。日本の現場力そのものは、決して悪いものではありません。問題は、経営側がそれを便利に使いすぎたことです。原材料が上がっても、顧客に値上げを求めず現場に吸収させる。人が減っても補充せず、配置転換とカイゼンで回す。設備が古くなっても、熟練者の勘で使い続ける。システムが不便でも、現場がExcelで補助表を作る。その結果、経営者が事業構造を作り替えなくても、現場が会社を存続させてくれる状態が長く続いたのでしょう。日本の現場が弱かったから賃金が上がらなかったのではなく、現場があまりに強く、値上げ・設備更新・事業再編をせずとも耐えてしまったため、賃金を上げる必要のある経済構造へ移れなかった。既存工程の中で毎年数%ずつ生産性を上げるカイゼンは、少額の投資で実行でき、現在の設備、人員、技能体系、取引先をほぼ維持できます。経営者にとっては非常に使いやすい。現場も、自分たちの経験を生かしながら改善できるので、強い抵抗は起きにくい。しかし、これを何十年も続けると、改善の中心が、機械や工程を変えることではなく、同じ人数、同じ設備、同じ時間で、もう少し多く処理することになりやすい。ただ、人口が減り、熟練者が退職し、若い人が低賃金では入らなくなれば、この方式は続きません。今後必要なのは「毎年5%もっと頑張ること」ではなく、この工程を、現在の人員と技術を前提にして残す必要が本当にあるのかという問いでしょう。賃金引き上げは、利益が出た後に行う分配だけではありません。企業に古い工程から脱皮させ、新技術・新設備・新しい人材を導入させる圧力でもあるのだと思います。紙の日報の電子化は、古い仕組みを固定することもある。作業は少し便利になっても、工程全体の付加価値はほとんど変わらない。韓国は、家電産業を温存したというより、家電で稼いでいる間に次の山へ登り始めた。日本は、企業の雇用と既存工程を低賃金とカイゼンで長く維持しながら、次の山への本格的な登山開始が遅れた。2026/8/1
  • 成功体験が脱皮を妨げていることはよくあることだ、Youtubeなどに上がっている新幹線スゴイ!という動画が多数あるが、その意識をJR各社の技術者も持っているのだろうか、また夜中にする線路の保守作業もすごいと言っているが、日本の何十倍もの高速線路網をもつ中国が、10年以上前の脱線事故から大きな事故を起こしていないのもすごいと思う。日本の新幹線の安全性、定時性、夜間保守の精密さは、本当に優れています。問題は、それがいつの間にか、車両も保守も運行も優れている 、だから日本で行っている仕組み全体を海外でも採用すべきだという考えに変わることです。JR各社の技術者一人ひとりがどう考えていたかまでは分かりません。ただ、国内で長く成功してきたために、日本の条件に最適化された仕組みと、国際市場で売りやすい仕組みとの違いが見えにくくなったことはありそうです。日立はそこからの脱皮が比較的可能でしょう。鉄道事業が日本国内だけで成り立つ会社ではなく、世界各国の顧客、社員、設備、技術を抱える事業になっているからです。日立が持つ最大の財産は、もはや「日本の優れた技術」だけではありません。日本の技術を、世界のデータと世界の人材によって評価し直せることそれが、川重やJR各社を中心とする従来の新幹線共同体にはない強みなのでしょう。そして日立が「この部分は日本方式より海外方式の方がよい」と公然と選び始めたとき、初めて新幹線は日本の誇りから、世界市場で繰り返し売れる商品へ変わっていくのだと思います。2026/7/31
  • 『紅の豚』でフィオが「ガソリンがイタリアの三倍だ」と怒ったとき、ポルコは、だいたい次のように答えています。「ぼってるんじゃねぇ。持ちつ持たれつなんだよ」そして、この辺りは見かけと違って経済的には空っぽなのだ、と説明します。つまり、安い店を探して買えばよいという話ではない。次に飛んできたときにも、ここで給油してくれる人が暮らしていけるように払っているのですね。司馬遼太郎の話も同じです。『竜馬がゆく』の執筆時には、古書店に龍馬関係の資料を集めさせ、軽トラック一杯分を大阪の自宅へ送らせたという古書店側の証言が残っています。単に一冊ずつ最安値で買ったのではなく、古書店の探索力、知識、目利き、資料を保管してきた時間までまとめて買ったのでしょう。これは防衛産業にも、そのまま当てはまります。海外企業と日本企業に同じ仕様書を渡し、「一番安いところを選ぶのが公平です」としてしまうと、形式的には公平でも、産業条件としては公平ではないのですよね。海外大手は、過去の大量生産で設備投資を回収し、部品を共通化し、多数の海外顧客に開発費を分散できます。対して日本企業は、数十台、場合によっては数台という少数生産のために、専用設備と人員を抱えなければならない。その二者を一台当たりの価格だけで比べれば、日本側が負けるのはある意味当然です。しかし、そこで海外製を選び続けると、最初は安くても、十年後には国内で設計も修理も改修もできなくなる。部品が止まれば、相手国の輸出許可や外交判断を待つことになる。安く買った代わりに、自国で判断できる自由を失うわけです。だから防衛調達では、単純な最低価格ではなく、購入価格+維持費+国内修理能力+供給途絶時の危険+技術継承+緊急増産能力までを価格として評価しなければならないと思います。司馬遼太郎も、古本だけでなく、必要な資料を探し出してくれる古書店という知的なインフラを買い支えたのでしょう。防衛産業も同じで、技術者や工場は、いったん消えてから金を出しても、すぐには戻ってきません。「持ちつ持たれつ」は情緒的な温情ではなく、長期的に自分自身を守るための、かなり合理的な経済行動なのだと思います。
  • 日本の優秀な管理職の典型 日本の問題は、自転車をこぐ人が弱いことではなく、全員があまりにまじめに、前の人の背中だけを見てこいでいることなのだと思います。2026/07/27
  • 本日の日経新聞の記事「安川電機の産業ロボ グーグルAI連携」 エージェンティック・ロボットの時代になると、日本の現場の八十年ぶんの暗黙知は、「手」としては引退しても、「試験官」として雇い直される。2026/07/22
  • 新明和工業が海上自衛隊の救難飛行艇US-2の製造の苦労を書いている漫画 『US-2 救難飛行艇開発物語』は技術者の美談ですが、別の角度から見ると、上へ予算を取りに行く勇気を持たない発注者が、下へ技術的犠牲を求め続けた物語といえる この要求は、コスト削減ではなく、使命感の搾取である  コストカットのために本来いいものを作るというためにある、何千万円分もの技術者の時間と労力が費やされている。国家が本当に守るべきだったのは、完成した一機だけではなく、次もまた良いものを作りたいと思える技術者の心だったと思うが。この本を読むと、20年で防衛産業から民間企業が100社超え去ったのもよくわかる 2026/07/28
  • 世界最大級の航空機関連の展示会「ファンボロー国際航空ショー」が20日始まる。次期戦闘機や無人機(ドローン)など防衛分野が目玉となる。 防衛産業基盤を強化する日本からは防衛装備庁が初出展する。ロシアによるウクライナ侵略や米国とイランの軍事衝突を機に重要性が高まるドローンも目玉の一つだ。日本勢では三菱重工が物流などに使う大型ドローンの模型を展示し、川崎重工業は戦闘機を支援する無人機や無人ヘリコプター技術を紹介する。新明和工業も無人飛行艇をアピールする予定だ。[新明和工業]といえば、自衛隊の救難飛行艇がその性能の良さで有名だ 2026/07/21
  • 今日の日経新聞に載っていた「全固体電池の新部材量産、住友化学、EV見据え28年度にも」や「AI半導体検査精度1000倍」など日本はこういう分野に強いね 2026/07/21
  • MRJの失敗。以前は、次々に外国人技術者を追加して、応援部隊を少しづつ追加して形勢を逆転できないように、船頭多くして船山に登る、ようになかなか、アメリカの認証を得る機体を製造できなかったが、今回はこれまでのように一社だけでやろうとするのではなく、安全基準や国際標準も、事業化の早い段階から海外と一緒に作る、これはお客も営業要員も同じに作ることであり、また三菱重工が2020年にボンバルディアからCRJ事業を取得し、型式証明、整備、改修、部品供給、販売支援などを引き継いでいることも大きい。 「今度の計画の成否は、2035年でも2040年でもなく、もっと手前——CRJの整備現場の知見が、次期機の設計会議に呼ばれているかという、今日にでも確認できる一点に、もう現れているはずです。」 2026/07/21
  • トランプ大統領について危惧しているのは、「ワイマール末期の議会がそうだったように、制度が動きながら、議会という制度への信認だけが死んでいた」ワイマール憲法という理想的が理念を掲げた社会が、超インフレと第一次の戦争の巨額な賠償金などによって、「ベルリンバビロン」だったかドラマのように、享楽と腐敗が混じったような社会になり、そこでナチスが生まれた、今のアメリカ社会はそれに似た社会へと突き進んでいっているに感じられるが。 2026/07/20
  • トランプタワーに始まり、トランプ空港、トランプ通り、トランプが刻まれた硬貨、など賞賛される拍手される名誉欲を満たすためなら、これまでアメリカが営々と刻み続けた同盟国との信任をいともたやすく翻弄することができる、習近平にもプーチンにも同じ欲が強いがそれ以上に国を強国にする、世界に影響力を持つという方の欲が強い。トランプの方は、アメリカ自体が十分に強いのだからと、自分の欲を優先する、そこでこれまでの支持層が計算違いするかもしれない。 2026/07/20
  • トランプ大統領がこれまで彼が育ててきた金儲けの打算の上で動いている分には、アメリカの富裕層やキリスト原理主義者は計算できるから安心だが、彼が名誉欲、喝采欲、権力欲によって、彼らにも想像できない領域へ自分を持ち上げ、制御できなくなったとき、江沢民が習近平なら制御できると踏んだのと同じように、制御するはずの側が制御され排除される側になる 2026/07/20
  • アメリカが香港を特別な地位に戻したのも、いずれドルの基軸性と国債の需要に請求書が回って来るだろうという、アメリカの富裕層や金融機関の対応策なのだろうか 2006/07/20

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