少し考えてはどうでしょう(『臥薪嘗胆』より)

国の勢いが増した呉は、中原へ北へ進出したいと思っていた。
大軍を運ぶことができる大船を建造し、水軍を強化していたが、
河川が曲がりくねっていて、速やかな移動が難しかった。
そこで、越の軍師であった范蠡(はんれい)が、
「北の斉に直行する運河を掘ってはどうか」
と進言する。
呉王夫差は、その進言を気に入り、実行する。
宰相のヒ伯が責任者として運河を掘り始めるが、
2年たってもうまくいかない。
相国の子胥に宰相のヒ伯が面詰される。
「運河を掘った方が良いというのは、呉の国力を落とすための越の策略だ。
その証拠に、呉の財力は底を付き始めたのに、
運河は少しの水しか流れないドブ川にしかすぎない」
呉王夫差は、その言葉に衝撃を受け、
自ら現場を視察して、即時中止を宣言する。
そのとき、食料支援の要請で呉に来ていた范蠡を捕え、詰問する。
「お前の進言した運河は、使い物にならんではないか」
范蠡は、これに対して答える。
「さて何のことでしょう。
あの運河は、北に掘り進めるだけでなく、湖をつなぐ運河も掘り進めていけば、
呉の水軍を速やかに、斉の喉元へ運ぶことができます。」
呉王夫差は、成程と頷き、中原進出の望みが再び燃え上がる。

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