第2回電脳戦は3勝1敗1引分けでコンピュータ側の勝利

以前、『聖の青春』という漫画で、感動した。

その原作者である先崎善生さんの言葉がいいえて妙なので、ここで使わせていただきます。

朝日新聞4月20日の電子版で

《腎臓の病気のため29歳で亡くなった村山聖(さとし)九段の生涯を描いた「聖の青春」などの著書がある作家で、元「将棋世界」編集長の大崎善生さんの話》
 A級棋士にコンピューターが勝つとは驚愕(きょうがく)の結果のはずですが、そのことに、さほど自分が驚いていないところに、現実のすごさを思います。

第3局を観戦しましたが、定跡や手筋など人間が先入観として持っていることが、裏目に出たような感じがしました。自分たちが作り上げた感覚が、コンピューターの正確な読みで弱点を突かれる――。そんな恐怖感をプロ棋士はコンピューターに感じているように思いましたね。

コンピューターの指し手が人の心を動かすかどうかに興味を持って見ていたのですが、感動の連続でした。単なる機械が計算しているのではなく、何かを表現しているように感じました。一つの物語を作っているようにさえ思いました。知性に近い気がしました。

この先、どう進むのか、非常に興味があります。いま、未来にいると実感させられますね。ほんの10年、20年前には夢物語だったことが現実になった。あっという間にタイムカプセルに乗って、未来に連れてこられたような感じです。

コンピューターから見て3勝1敗1引き分けという結果は、これが精いっぱいなのかもしれませんね。それほどコンピューターが進化している。第4局で元タ イトルホルダーの塚田九段は、コンピューターの弱点の一つとされる入玉作戦に、言葉は悪いが恥も外聞もなく賭けて、コンピューターの大ミスを誘って、なん とか引き分けに持ち込んだ。これが現実だとまざまざと見せつけられた。今日、三浦八段が負けても全然不思議ではない、と感じていました。第2局、第3局か ら大きく動いた流れは、もう止めようがなかったのでしょう。今回の結果は歴史的で意義ある結果です。

人間対人間の勝負が研究合戦で、非常にクールで飽和状態なように感じていましたので、人間対コンピューターの対戦で将棋界に光が差したように思います。

コンピューターの進歩はものすごく、10年後は戦いにならないかもしれません。でも、羽生善治三冠や渡辺明竜王がむざむざ負けるとは思えません。トップ中のトップのプロと、コンピューターとの決戦が楽しみで、ワクワク感が強いです。

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