「宋以後の中国」化している世界と日本
中国の政体は、
960年、中国で成立した「宋」王朝の以前と以後で大きく分かれる。
科挙制度が始まり、
皇帝一人に権力と行政力が集まるようにしている。
1.権威と権力の一致
皇帝が権威者であるとともに、政治的実権を持つ。
科挙で登用され、各地に派遣された官僚が、その地で実行する。
2.政治と道徳の一体化
政治的な「正しさ」=道徳的な「正しさ」
3.地位の一貫性の上昇
政治的に偉い人は、当然頭もよく、さらに人間的に立派」
(逆にまた真なり)
4.市場ベースの秩序の流動化
貨幣の農村普及などの政策により、自給自足的な農村共同体をモデルとした秩序が解体に向かい、
むしろ商工業者が地縁に関係なく利益を求めて動き回る、ノマド(遊牧民)的な世界が出現する。
5.人間関係のネットワーク化
その結果、科挙合格者を探す上でも、商売上有利な情報を得るためにも便利なので、
同じ場所に居住する者どうしの「近く深い」コミュニティよりも、
宗族(父縁血縁)に代表される「広く浅い」個人的なコネクションが優先される
逆に、このような世界観を拒否した鎌倉武士たちに始まり、やがて江戸時代という日本独自の近世へと結実していく、
日本文明の特徴とはなにか?
ちょうどこの「近世中国の5大特徴すべてを裏返す」と、それがそのまま「日本文化論」になるのです。
『中国化する日本』(與那覇 潤)より
日本人の場合、
個(私)の中に、公(人さま)が含まれているのが特徴