進化の大ジャンプー4.1-1 進化はなぜ私たちを、他者からの好意や敬意を切望するようにつくったのだろう?
身体的苦痛と社会的苦痛というまったく違う種類に思えるふたつの苦痛が、
じつは同じ脳神経メカニズムを共有し、私たちが考える以上に心理的要素と結びついている。
そして
一般的な報酬も(チョコレート)と社会的報酬(公平な扱い)もまた、
同じ脳神経認知プロセスを共有しているのである。
進化はなぜ私たちを、他者からの好意や敬意を切望するようにつくったのだろう?
その理由の一つは、
人間もその他の哺乳類も、協力しあって働き、
お互いを思いやれば、
集団でより大きな利益が手に入れることができるからだ。
自分よりも複雑で危険な獣が存在する時、
他者とつながり、互いに好意を持ちあえば、
群れで生活する利益をさらに充実したものにできるからである。
人間は協力する動物だ。
協力し合う動物は他にもたくさんいるが、
人間ほど大きな規模と広い範囲で協力しあう種は他にはいない。
出典『21世紀の脳科学 人生を豊かにする3つの「脳力」』