進化の流れで見ると、アドラー心理学の立脚点「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」は正しい

対人関係の悩みは、アドラーがいう「誰の課題なのか」を考えることで、解決できるのだろうか?
デカルトが『省察』で述べている「心身二元論」と同様に、
哲学的な考察から生まれてきたように思う。

精神医学・生物行動科学教授であるマシュー・リーバーマンは書いている。

  私たちのトロイの木馬の自己は、物心ついた頃から、外界の情報をスポンジのように吸収してきた。
  そうして無意識のうちに内面化した信念や価値観を、
  私たちは自分自身の考えや価値観だと思い込んで、必死に守ろうとする。
  だが実のところ、
  自分の考えを弁護するとき、私たちが弁護しているのは、社会の考えなのだ。
  自分の信念と社会の信念とが一致するからこそ、私たちは社会の一員になれる。
  集団の仲間に好かれてこそ、社会的苦痛よりも社会的喜びを味わえる。

  私たちの脳は周囲の世界に注意を向けるようにできているのだ。

  社会的報酬は脳の報酬系を活性化させ、私たちを幸せな気分にしてくれる。

  社会心理学者のアリス・アイゼンは実験を通して、

  ポジティブな感情が思考力と意思決定力を高める現象を何度も目にしてきた。

  プラスの感情を味わうと、人はいろいろと考えの類似点や相違点を素早く見つけられ、

  ワーキングメモリの働きも向上する。