進化の大ジャンプー4.1-3 思春期の脳はつながいたいという強い動機を感じている

教師は数学や歴史や科学の知識を何とか生徒の頭に叩き込もうとするが、
思春期の子どもは数式や年号や法則よりも、もっとずっと重要な問題-
すなわち仲間や周囲の世界のことで頭が一杯なのだ。
だから、
勉強に身が入らなくても、かれらの責任ではない。
私たちの脳は周囲の世界に注意を向けるようにできているのだ。
周囲の世界を読み解くために働くメンタライジング系は、
とりわけ思春期に活性化し、
この年頃の子どもに強い影響を及ぼす。

人はつながりを感じると成績が上がるのだろうか?
つながりを実感できない子どもが帰属意識を持てれば、
彼らの素晴らしい能力を発揮できるのではないだろうか。

社会的報酬は脳の報酬系を活性化させ、私たちを幸せな気分にしてくれる。
社会心理学者のアリス・アイゼンは実験を通して、
ポジティブな感情が思考力と意思決定力を高める現象を何度も目にしてきた。
プラスの感情を味わうと、人はいろいろと考えの類似点や相違点を素早く見つけられ、
ワーキングメモリの働きも向上する。