1923年当時、「コンピュータ」とは仕事としてひたすら計算を続ける人々のことだった。

1923年当時、「コンピュータ」とは電気で動く機械の事ではなかった。それは、仕事としてひたすら計算を続ける人々のことだった。ハーバード大学では、部屋で背を丸めて机に向かう独身女性の集団を意味していた。その中には、かっては科学に第一級の才能を示した者もいる。ある女性は「ずっと微積分学を勉強したかったのに、指導教官から許可をもらえなかった」という。だが、そんな望みは大抵とうの昔にくじかれてしまい、今では恒星の位置の計算や、その大量の結果の整理に忙殺されている。結婚をすれば解雇されるかもしれない。薄給に不満を言っても解雇されるだろう。
ハーバード大学には、何十年にもわたって計算したスペクトル線の数が10万を超える「コンピュータ」もいた。だが、いったい何を計算していて、それが物理学の最新の成果にどう結び付いたのかは、ほとんど誰も知らなかった。
     E=mc2 written by David Bodanis

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